【中学受験のプロが語る】大手進学塾、新学年への不安解消①
■成績や結果、子供を見ていても変わらず不安
どんな塾に通わせていても、多かれ少なかれ不満や不安は出てくるものです。
塾に通わせていて感じる不満や不安は、多くの場合「頑張っているのに成績が上がらない」というもの。
塾で言われた通りに講座を受け、宿題もきちんとやらせている。
それなのに、成績が上がらないとなれば、塾に対する不信感を抱いてしまうのも無理はありません。
しかし、大手進学塾のカリキュラムというのは、成績優秀な子を基準に作られたものだということを忘れてはいけません。
よく親御さんは「本人のやる気次第で成績が上がる」と考えがちですが、
気持ちの問題よりも、そもそもわが子に大手進学塾の授業についていけるだけの基礎学力がついているかどうか冷静に判断して欲しいのです。
よくあるケースとして、SAPIXの授業についていけない子がいます。
SAPIXは中学受験の最難関校と言われる男女御三家への合格者を多く出す塾です。
そのため、授業のカリキュラムも上位の子を焦点に当てて進めていきます。
それはどこの塾でも同じなのですが、それが最も顕著に表れているのがSAPIXなのです。
ですから、上位校を狙わず、中堅校でよいというのであれば、下位のクラスで授業の内容が理解できないまま、通塾する必要はありません。
もう少し難易度の低い塾で、伸び伸びと学習した方がいいでしょう。
■転塾を検討する際の『5ステップ』
①子どもの勉強がうまくいっていないことに気づいたら
テストの結果がよくない、宿題の量が多すぎて終わらない、授業の内容が理解できていない、子どもが塾へ行きたがらないなど、
子どもから何らかのSOS信号を感じたら、親子で話し合います。また、塾に面談をお願いし、担当講師に話を聞いてみます。
②何がどううまくいっていないのか、現状を分析する
今現在、うまくいっているところとうまくいっていないところを書き出してみて、どちらの方が比重が大きいかを分析してみます。
また、塾に対して感じる満足と不満も書き出してみます。
③「こうすればうまくいく」ということと、本人と親ができることを考える
今現在、困っている、不満に思っていることを解決するには、どうすればうまくいくのかを考えます。
そのとき、本人と親ができることを書き出し、逆にできないことを補ってくれる塾を検討します。
④転塾先は距離的に子どもが通える場所か、親が送迎できるかどうか調べる
5年生になると通塾日が増え、塾との関わりがさらに深くなります。
子どもにとって、親にとって負担がかからないように、自宅から30分圏内の塾を検討しましょう。
⑤いくつか転塾先の候補を挙げ、見学する
候補に挙がった塾の学習カリキュラムを知り、転塾したときに抜けてしまう単元がないかをチェックします。
多くの大手進学塾のカリキュラムは、5年生までにほとんど受験勉強の範囲を終わらせ、6年生は入試対策に特化するというものなっています。
しかし、各学年でどの単元を勉強するかは、それぞれの塾で違いがあります。
また、学習の進度や宿題の量などにも差があります。
例えば、早稲田アカデミーは四谷大塚のテキストを使用しているので、四谷大塚から早稲田アカデミーへの転塾は、カリキュラムの面ではスムーズにいきますが、宿題の量に大きな違いがあります。
早稲田アカデミーは、大手進学塾の中でも最も宿題量の多い塾なのです。
転塾は塾の雰囲気や学習進度が変わり、子どもによっては吉と出る場合がありますが、
カリキュラムの違いによるリスクもあるということを心に留めておきましょう。
塾によって習う単元の順番が異なるために、A塾ではまだ習っていないことが、B塾では習っている、ということが起こりうるのです。
ですから、転塾先のカリキュラムをよく調べて、未習の単元ができないように注意するか、そこは家庭学習や個別指導塾などで補うなどして、十分な対策を取らなければなりません。
転塾をするなら、4年生の冬に検討することをおすすめします。
5年生になると、塾の勉強がさらに難しくなる上に、塾によって習う単元の順番が大きく変わってきてしまうため、5年生以降の転塾はあまり望ましくありません。転塾をするのなら、4年生の冬がベストでしょう。
どんなに遅くても5年生の夏までには決めておくべきです。それ以降になると、未習単元が多くなって、上位クラスに入るのが難しくなります。
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