【中学受験】 冬休み明けの通学はどうする? ~自宅での勉強のデメリットと解決法~
お子さんが中学受験を控えたご家庭では、冬休み明けから学校に通わず、自宅で勉強させる、という選択をされた方もいるのではないでしょうか。
ところが、志望校合格に向けて勉強できる時間が増えたにもかかわらず、「自宅では勉強がはかどらない……」というお子さんもたくさんいます。夕方、帰ってきた保護者の方が、子どもがまったく勉強していないのを見て、「何やってたの!」と怒ってしまうケースも、「受験あるある」です。
学校に通わず自宅で勉強することの「思わぬ」落とし穴について、パーソナルスタディ千石校・教室長の向田奈波トレーナーに聞きました。
向田奈波(むかだ・ななみ)
パーソナルスタディ千石校・教室長。生徒一人ひとりの目標・個性に寄り添い、適切な学習方法を見つけることを意識した指導に定評があります。
目次
Toggle家で自習するのはハードルが高い
自宅で勉強がはかどらない理由は、主に3つあります。
① 一人で計画的に勉強する難しさ
そもそも、子どもが一人で計画的に勉強するのは難しいです。大抵の場合、大人のサポートが必要で、基本的には保護者の方が支えてあげる必要があります。
② 自宅には“誘惑”がたくさんある
2つ目として、自宅には“誘惑”が多いことが挙げられます。テレビやYouTubeは、親がいなければ見放題。漫画やゲームもあります。保護者の皆さんが子どもだった頃と比べても、誘惑の数や種類は格段に増えているはずです。正直、私も「こんなにたくさんの誘惑がある中で勉強するなんて、今の子どもは大変だな……」と思います。
③ 自宅ではストレスが溜まりやすい
3つ目はストレス。試験本番を間近に控えた子どもは、強いストレスにさらされています。さらに、自宅でずっと一人きりで過ごすことで、ストレスがさらに溜まっていく可能性があります。普段、子どもは学校で友達と遊んだり、おしゃべりをしたりしてストレスを発散できますが、自宅にいると、それができなくなります。“誘惑”にかられるのもストレスが溜まるので、ある意味仕方がないことだと思います。
解決策を子どもと一緒に考える
お子さんの勉強があまりはかどっていないと感じたら、是非お子さんと一緒に解決策を考えてみてください。親子で話をすれば解決の糸口が見えてきます。
例えば、「YouTubeをダラダラ見続けて勉強できない」という場合。「YouTubeを見るのは勉強が終わってからにしたら?」「見る時間帯を決めたらどうだろう?」など、親もアイデアを出しながらルールを決めれば良いと思います。
「日中、眠くて勉強できない」というケースもよくあります。実はこの時期、保護者の方から「朝、子どもを起こすのが大変」とご相談いただくことが非常に多いです。特に進学塾に通うお子さんは、夜22時頃まで塾で講義を受けていることもあるので、就寝時刻が遅くなりがち。学校を休んでいると早起きする必要もないので、生活リズムが狂うわけです。
そんなときも親子で話して、一緒に解決策を考えてみましょう。
「塾から帰宅してから寝るまでのルーティン(明日の支度、お風呂、歯磨き……の順番)を一覧表にして壁に貼っておこう」「早起きできたらYouTubeを見てもいいことにしよう」「試験本番の日は朝早いので、その訓練のつもりで早起きしよう」など、声かけの方法はいろいろあると思います。
お子さんと一緒に解決策を考えた結果、「やっぱり家では勉強できないので学校に通うことにしよう」という結論に至るかもしれません。お子さんにとってベストならそれが良いと思います。
このように、親子で解決策を考えれば、お子さんの学習習慣を改善することができますし、お子さんの勉強がはかどれば、親子のぶつかりあいもなくなると思います。
「子どもが決める」余地を作る
親子で解決策を考えるとき、ポイントが一つあります。それは「子どもが決める」余地を作ること。子どもの裁量に委ねる“余白”のような部分ですね。
例えば、「どの教材を使うか」は大人が主導で決めるとしても、「どの順番で問題を解くか」は子どもの考え方に委ねるといった具合に、です。
一般的に小学生の勉強は、「この教材をやってみよう」「この本を読んでみよう」というように、保護者(大人)が強くリードすることが多いです。しかし小学6年生になると、「自分のことは自分で決めたい」という心理が芽生えてきます。保護者(大人)がすべてを決めてしまうと、子どもは息苦しく感じてしまいます。
いずれ子どもは、主体的に勉強できるようにならなければなりません。そのためのトレーニングだと思って、やってみるのはいかがでしょう。
自宅学習のルールを決めるとき、保護者がルールをすべて決めるのではなく、「子どもが決める」部分を作るのがポイントです(図の青い部分)。将来、主体的に学習する子どもになってもらうためのトレーニングにもなります。
叱るのではなく相談相手になる
今回、お伝えしたことを実践するためには、親子がちゃんと話し合える関係を築いておく必要があります。
そのためには日頃から保護者の方が、お子さんの「よき相談相手」になってあげることが大切だと思います。例えば、学校や塾のテストの成績が良くなかったとき、「何をやっていたんだ!」と頭ごなしに叱るのではなく、「じゃあ、次に向けてどうしようか?」とお子さんに語りかけ、一緒に考えてみましょう。
そうすれば、お子さんの心の中に、「勉強で困ったときはお父さん・お母さんに相談しよう」という素直な気持ちが芽生えていくはずです。
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