突然ですが、皆さんは昨日の夜ごはん、何を召し上がりましたか?

冬になると、とくにあたたかい鍋やシチューが恋しくなりますね。

日本では古来より四季にあわせて、さまざまな旬の野菜や魚を活かした料理が考えられてきました。

では、外国の料理はどんなふうにうまれてきたのでしょうか。

今回ご紹介する本は『LAフード・ダイアリー』三浦 哲哉(2021,講談社)です。

家族でロサンゼルスに移住した映画研究者の筆者が「食」について巡らせた考えのエッセイです。

飛行機で空港に到着した筆者らが、いちばん初めに口にするのはセブンイレブンのサンドイッチでした。

日本でもなじみ深いコンビニのパンをひとくちたべた筆者の娘は、しかし「まずい」と言って残してしまいます。

甘すぎたのです。きついシナモンの匂いと、粘っこい口ざわり。「日本には存在しない類の味」だと筆者は形容しています。

その後も、筆者の家族は高い物価や、通用しない英語に苦しみながら、なんとか食べられるもの、おいしいものを探して暮らしのなかで彷徨します。

ときに戸惑い、困り、途方に暮れながらも、ピザ、寿司やタコスといった多様な食文化にふれていくなかで、筆者は食を通してロサンゼルス、ひいてはアメリカの歴史の根源にふれていきます。

おいしいポテトチップスと、コカ・コーラといっしょに楽しんで頂きたい一冊です。