首都圏にある有名中高一貫校では「高校募集の停止」が着々と進んでいます。

学校側の意図や、これから受験を考える保護者、生徒はどうしていくべきか。

 


 

■首都圏の中高一貫校の現状

 

・1885年に創設された男子校で、臨海学校などの伝統行事も多い成城(新宿区)は2019年から高校募集を停止。

 

浦和明の星女子(さいたま市)は、2003年には中学校を開校し、中高一貫教育を始めた。3年後の06年には高校募集を停止。

 

・毎年、東大に50人前後の合格者を出す首都圏有数の男子進学である海城(新宿区)が、高校募集を停止したのは2011年。

 

本郷(豊島区)は令和3年度(2021年度)入試より高校募集を停止。令和2年度(2020年度)入試より中学校の募集定員を増員する。

 

豊島岡女子学園(豊島区)は令和4(2022)年度より募集を停止。 令和2(2020)および令和3(2021)年度の入学試験は従前通り90名募集で実施。

 

このように、首都圏の有名中高一貫校は高校からの募集を停止、すなわち「実質廃止」の道を進んでいます。

この現象は、下げ止まりすることなく、首都圏が終われば、

・関西圏

・中部圏

・その他全国的

に波及する傾向であることは間違いないでしょう。

 

 


 

■学校側の視点

 

2020年から始まる大学入試改革では、

➀大学入試センター試験に代わる大学入学共通テスト

・「数学と国語の記述式問題」

・「英語の民間試験」

これに合わせて中高一貫の6年計画の方が入試改革に合わせて柔軟に対応できることが大きなメリットだと思いますが、2つとも先送りや延期が決まっています。

 


 

■中学受験することが大学入試改革への対策か

 

2020年の大学入試改革では、「知識」の理解を測るとともに、知識に基づいた「思考力」「判断力」「表現力」などを評価するとして、記述式問題が新たに導入されます。

 

近年の中学受験では、こういった記述式の問題や思考力や判断力などを出題する学校が増してきているので、「中学受験の選択をすること」自体が今後の大学入試改革に対応すること、そのものになるのではないでしょうか。

 


 

■今後の受験や教育について考える

 

ですが、中学受験を得て中高一貫教育が子どもの教育で最適なもの、言い換えれば無難な選択であるとは一概には言えません。

グローバル化や、多種多様な国際関係の中で、小学校の英語必修化など、個々の能力で問われているものが変わっていくこと、また、それに対応し教育で求められることが変わっていくことも必然なのです。

 

「教育基本法」が改正されたのは平成18年。

昭和二十二年に作られた教育基本法を50年間、一度も改正することなく歩んだ反動なのかもしれません。

 

いつの時代も変わらず「教育」とは、必要不可欠なものであり、自分たちの国を豊かにすることができる根源なのです。

 

よい物は伝統として残し、変わらざる得ないものは時代に対応し変えていく、即ち「生きる力」とは何かということを、いつの時代でも親、大人は子どもたちへ教えていく義務があるのです。

 

「生きる力」とは、どこで、誰に学ぶのか。

 

国や学校ではなく、まずは社会の最小単位である「個人」の次、「家族」でそれは何かを教えないといけませんね。