こんにちは!一週間に一冊、おすすめの本を紹介していくコーナーです。

(前回はこちら)

今回ご紹介するのは『魔の山』トーマス・マン(1969,新潮社)です。

対象目安:中学生~

 

舞台は、第一次世界大戦前、スイスのアルプス山脈にあるサナトリウム(療養所)です。

主人公のハンス・カストルプは、軽い結核で静養しているいとこのヨーアヒムのお見舞いのため訪れます。

しかしハンス自身もそこで結核にかかっていることがわかり、入所することになります。

結局そのあと七年間も、サナトリウムで過ごすことになるのです。

サナトリウムには、それぞれの「病気」を抱えた個性的な患者たちが大勢暮らしています。

世間と隔絶された場所で、一見朗らかに暮らすかれらは、けれどどこかに仄暗さも併せもっています。

軽妙洒脱な会話文はもちろん、山の荘厳な景色の描写も読みどころです。

 

上下巻と読み応えのある構成になっています。

コロナ禍のいま、「病気と暮らす」ことに思いを巡らせるのにぴったりな一冊、年末年始にいかがでしょうか。