理系学部を目指す受験生であれば、数学の勉強には力が入ることでしょう。

 

特に難関大学の理系学部を目指す受験生は試験本番までに、数学Ⅰ、数学A、数学Ⅱ、数学B、数学Ⅲの各科目で学んだ知識を“つなげる”学習を積んでおくことが大切です。

 

詳しく説明しましょう。

 

図形問題をベクトルで解く


例えば、図形問題で二点間の距離を求めるとき、幾何学的手法に頼るのではなく、ベクトルの計算に置き換えることで、より簡単に解ける場合があります。

 

また、連立方程式の解を求める問題を、図形を使って解けるようなケースもあります。

 

このように、一つの問題に対していくつかの数学の知識を、臨機応変に繰り出せる力を養っておくと、数学の本質的理解がより深まり、試験対策として大きな効果があります。

 

難関大学・理系の数学試験では、受験生の皆さんが今まで見たことのないような難しい問題が出ることを想定しておくべきです。

 

そのような難問に出合ったとき、数学の知識のつながりが効くのです。

 

 

別解でライバルに差をつけよう


数学の知識をつなげるために、効果的な学習法があります。

 

数学の問題集の解答欄を見ると、メインの一般的な解法のほかに、別解が記されていることがあります。それこそ図形問題をベクトルの計算で解くような方法が、別解として記載されていると思います。これを覚えるのです。

 

「メインの解法を覚えるだけでも大変なのに……」などと、へこむ必要はありません!

 

実は、別解のほうが少ない工数で簡単に問題を解ける場合が多いのです。

 

簡単な解き方が覚えられて、なおかつ数学の知識をつなぐこともできるなんて、一石二鳥だと思いませんか?

 

高3の春までに青チャートを完了


学習スケジュールについて、大まかにご説明しましょう。

 

高校1年生から3年生の春までは、授業の進捗に合わせて数学Ⅰから数学Ⅲまで勉強してください。授業の予習・復習をしっかりやりましょう。

 

それと並行して参考書にもチャレンジしてほしいです。参考書は『チャート式 基礎からの数学』シリーズ(数研出版)、通称「青チャート」をおすすめします。数学ⅠAから数学Ⅲまであります。

 

かなり分厚い参考書ですが、共通テストレベルから中堅~難関大学入試レベルまでの内容をカバーしています。難関大学を目指す受験生は、まず、これで基盤となる学力をしっかり築いてほしいです。

 

進学校・理系の場合、数学Ⅰ、数学Aの授業は高校1年の冬に終わり、次いで数学Ⅱ、数学Bの授業が始まると思います。このタイミングで青チャートの数学Ⅰ、数学Aを始めてほしいです。

 

数学Ⅱ、数学Bの授業は高校2年の秋頃までに終わり、次いで数学Ⅲの授業が始まります。ここまでに青チャートの数学Ⅰ、数学Aを終わらせて、次に青チャートの数学Ⅱ、数学Bを始めてください。

 

青チャートは後半、少し急ぎめに進めてほしいです。数学Ⅲの授業が終わるのが高校3年春ですが、これと同時に青チャートの数学Ⅲを終わらせるのが理想的です。

 

 

分厚い問題集もこわくない!


舌の根も乾かぬうちにとなりますが……。難関大学合格を目指すなら青チャートの次に、よりレベルの高い問題集にチャレンジしましょう。

 

おすすめの問題集として『フォーカス ゴールド』(啓林館)シリーズを挙げておきます。

 

これまた分厚い本になりますが、どうか気後れしないでください。青チャートで基盤となる学力はすでに身に付いています。

 

なので、「これは分かる!」という問題がたくさんあるはずです。

 

分かる問題は解かなくてOK。分からない問題だけ解いてみてください。

 

『フォーカス ゴールド』シリーズまでこなせれば共通テスト対策としては十二分。難関大学の入試対策としても十分なレベルです。

 

そして共通テストが終わったら、志望校の過去問に取り組んでください。古い年度の問題から解いていき、まだ勉強が足りないと感じる箇所があれば、『フォーカス ゴールド』や青チャートに戻って勉強しましょう。

 

 

公式を丸暗記するだけではダメ


受験生の中には「勉強しているのに数学が苦手」という人もいます。

 

しかし、よく話を聞いてみると、公式をただ丸暗記しているだけという人がいるようです。

 

難関大学の理系を目指すなら、そのような勉強では太刀打ちできません。

 

計算するだけの問題ならまだしも、応用問題となるとそうはいかないからです。そもそも、どの公式を使えばよいのか、問題を見ても分からないケースがほとんどです。

 

難関大学の理系を目指す皆さんには、「なぜその公式が導かれるのか」、公式の背景にあることがらまで掘り下げて勉強してほしいです。

 

そうすれば、今まで見たことのないような難問に出合ったとき、分からないなりに、問題に着手することができます。

 

鉛筆を動かしながら問題を整理し、自分の知識と照らし合わせるうちに、解法に至る道筋を見つけることができるようになります。

 

これは冒頭で記した、数学の知識をつなげる話にも通じます。

 

 

日常生活で数学を話題にしてみよう


最後に、特に理系を目指す受験生におすすめしたいことがあります。

 

ニュースでノーベル賞や数学のフィールズ賞などが取り上げられることがあります。そのニュースを友達や家族と話題にしてみてください。細かい内容まで理解する必要はありません。

 

例えば、メディアでよく取り上げられる数学のテーマとして「素数」があります。

 

学校では「(連続自然数において)次の素数を求める公式はない」と教わるはずです。実際、そのような公式は存在しません。

 

しかし世界中の研究者が、その公式を導こうと日夜、研究に取り組んでいます。

 

もし公式が発見されたら、高校数学の教科書は書き換えられる可能性があります。

 

今、勉強している数学の延長線上に、このような、人々の常識を変えるかもしれない研究の世界が広がっているなんて、考えただけで、わくわくしてきませんか?

 

皆さんが志望大学に受かったら、そのような研究に携わる可能性だってあるのです。

 

受験生の皆さんのご検討をお祈りしています。

 


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